モーターライズわかさぎキットを購入して組み立ててみました

電動リールの機構を調べるため、兵庫県の谷山商事さんが販売している、「モーターライズ わかさぎキット」(赤黒モデル)を購入して組み立ててみました。無事に完成させることはできましたが、組み立てにあたって面白いなと思ったり、むずかしいなと感じたポイントを書いていきます。

もし、これから自分で購入して組み立てようという方の参考になればと思います。

準備

箱の外観はまさにプラモデルです。模型屋さんに置いてあっても違和感なさそうです。カラーバリエーションはたくさんありますが、私は黒赤モデルを購入しました。

プラモデルをイメージしていたためか、箱を開いたときに思ったよりもパーツが少ないなと思いました。

取り出して並べて見たところです。黒いパーツはフレームで、ABS樹脂です。白いプラ部品はポリアセタール樹脂部品で、つるつるして滑りやすくなっています。

赤いパーツは金属製で、フレームを接続する部品や、スプールの軸として使われています。金属パーツがあることで、組み立て後のしっかりした剛性感が出てきます。

また、長さや形状が微妙に違うネジがたくさん入っているため、間違えないように最初に分類しておくことをおすすめします。

組み立てのポイント

組み立て自体は取説を見ながらやって行けばいいので、ここでは主に難しかったポイントを見ていきます。

巻き上げボタンの組み立て

巻き上げボタンまわり

説明書に最初に出てくるのが巻き上げボタンの組み立てです。これがいきなり難しいと思います。モーターのケーブルを断線しないよう気をつけて下さい。ただ、それよりも、組み付け時のパーツの向きが非常に重要です。

D8とD9/D5に穴が開いています。この穴の向きと、SA/SB端子のケーブルの向きを合わせておく必要があります。付属のピアノ線を必ずパーツの穴に差し込んで、向きを微調整しながら組み立てて下さい。

C1部品にも向きがあります。くぼみの中に特徴がありますので必ず確認してください。C1部品の向きを間違えると、D5と噛み合わなくて苦労します。ちなみに、C1とD5のかみ合わせが非常に固い場合がありますので、なかなか入らないからと言って諦めないようにお願いします。

付属のピアノ線

スプール

いくつもの部品で構成

スプールはプラパーツだけでも4つを組み合わせる必要があります。仮組みは必須です。きちんとネジの下穴の位置があっているかを確認してから組み立て始めて下さい。そうしないと、穴の位置がずれてうまく組み立てられません。

またB2のネジ下穴が潰れて小さい場合があります。事前に確認して小さいなと思った場合は、穴の入り口をキリなどで整形しておくことをおすすめします。そうしないと、実際に組み上げるときに下穴にネジが入っていかず、困ることになると思います。

仮組みのときに、D3の金属パーツがプラパーツの中心の穴を全て貫通できることも忘れずに確認しておいてください。私のものはかなりキツめだったため、作業がけっこう難しかったです。

糸留めも、パーツの組み合わせによりも実現されています。

ただ、スプールが小さくて、バックラッシュなどが少し心配です。あまりたくさんのラインは巻かない方が良さそうな気がします。

バリ取り

プラパーツにはところどころバリがあります。ほとんどは放置しておいてもよいのですが、一部重大な影響を与えるものもあります。フレームのスプール軸受け部分です。

スプールの軸受け

最終組み立て後、実際にラインを巻いておもりを落としたところ、スプールがまったくまわりませんでした。いろいろと確認するとスプールの軸受けにバリがあり、それが抵抗となって回転を阻害しているようでした。こちらは確実に削り取っておく必要があります。

モーターまわり

モーターに取り付けるバネは、写真のように後方のネジに引っ掛けます。この手順は取説には書いていないような・・・

電池ボックス

電池ボックスは、羽根が両端についていますが、必ず奥まで押し込んで下さい。フレームの穴がキツイため、途中までしか入りにくい場合があります。私はあて布をしたうえで金槌で叩き込みました。あて布をしないと傷がついてしまうので注意してください。

また、電極へ接触させる針金パーツは細かい調整が必要です。電極に確実に接触させたうえでネジをしっかりと締め込まないと、使用している途中で接触不良になってしまいます。針金パーツを固定するネジの調整用に、六角レンチおよび5.5mmスパナは釣行に持っていったほうがいいかもしれません。

針金パーツは電極に軽く接触しているだけなので、水没などした場合はサビで被膜ができて電気の導通が失われるかもしれません。注意してください。(ハンダしちゃダメなのかなとか・・・)

レバーストッパー

レバーの根本にストッパーが2本刺さっています。これは手で押し込むのはおそらくムリなので、折れたり曲がったりしないよう、慎重に金槌などで叩き込んで下さい。

取説にはあまり書いてありませんが、このレバーストッパーの取り付け状態は非常に重要です。きちんと押し込まれていないと、左右のフレームを結合するときに、レバーがモータやスプールと干渉してしまってまともに組み上がりません。

上の写真を見ながら、適切な長さになるようにしてください。

組み立て後に改造したいところ

スプール受けをベアリングに交換する

スプール受けであるC5は滑りやすいポリアセタールですが、ここを内径4mm/外形7mm/厚さ2.5mmのベアリングに交換してもよいと思います。740zzという型番のものがあいそうです。

交換することで、スプールをフリーにしたときの仕掛けの落下がよりスムーズになると思います。また、モーターの回転負荷が減るので、バッテリーの持ちも多少良くなる可能性があります。

ただ、これをやる前に、必ずフレーム側の軸受けにある「バリ」を確認してください。もしまだ残っているようであればヤスリで削り取って下さい。いくらベアリングを替えても、バリが残っていると意味がなくなります。

穂先の受け口

穂先を挿す部分のスペーサが、そのままだとポロリと外れて落ちてしまいます。穂先を取り外して保管する場合は、このスペーサーをなくさないように気をつける必要があります。

また、このスペーサは筒状でスリットが入っているので穂先の根本径に柔軟性を持たせていますが、テーパーがついているわけではなさそうです。穂先根本が5mmでズン胴の場合は、長さによっては奥まで刺さってしまい、スプールと干渉する可能性があります。

スプール

デフォルトでついているスプールは、溝が浅すぎてラインをほとんど巻くことができません。0.3号でも30M巻けません。バックラッシュですぐ絡まるため、できれば交換したいところですが、、、なかなか良い交換パーツがありません。そのうち3Dプリンタで作ろうかと思っています。

ネットを検索すると、ボビンで置換えているツワモノがいました。

外部電源化

現状は、単4電池1本(1.5V)で駆動しています。工作用のモーターであれば、3V程度までは上げても良さそうです。

USB電源などに接続させる場合は、そのまま入力するとモーターにダメージを与える可能性があります。ですので、外部電源化と同時にモーター自体も5Vに耐えられるものに交換する必要が出てきます。

電圧を上げることで、巻き上げのトルクが上がり、巻き上げ速度の向上も期待できます。

誤操作防止ストッパー

巻き上げボタンのストッパーが付属しています。もちろん釣りの間はこのストッパーを外すのですが、小さい部品なのでこちらもなくしてしまいそうです。穴が開いているので、そこに糸を通して本体に結んでおくなどしたほうがいいかもしれません。

付属のパーツを使うことで、つり竿に直接取り付けることもできます。なかなか面白いアイデアだなと思いました。ただ、その場合は巻き上げボタンが少し押しにくいかもしれません。左右入れ替えや、可能ならレバー化したいところです。

まとめ

全体的に組み立て難易度は高めです。器用な方じゃないと「組み立てたけど動かない」とかは普通に発生しそうです。原因として考えられるのは、プラ成形されたパーツ類にあるネジ穴などの精度が悪いことです。プラモデル感覚で「なんとなく作っても動くでしょ」という軽いイメージは持たない方が良いです。

組み立てにおいては、以下のポイントは特に注意する必要があります。

  1. 巻き上げボタンパーツは、必ずピアノ線を使って向きを調整する
  2. スプールの仮組みは必須(他の仮組みもやってから作業した方が良い)
  3. スプールのネジの下穴が小さい場合は、キリなどで慎重に広げる
  4. バリ取り、特にフレームのスプール軸受け部分は丁寧に行う
  5. 電源ボックスは、羽根のところまでフレームにきっちり埋め込む
  6. レバーストッパーは、しっかりフレームに差し込む

ただ、バネを使った機構はコンパクトに作ってあり、すごく参考になりました。また、外部電源化などの改造も自由にできるので、工作が好きな方にはうってつけの素材だと思います。

こちらの電動リールを使った実釣は、次回試してみたいと思います。